より質の高い診断や治療を患者さんに提供するために
私たちは、胆道・膵臓の病気の専門的な診断や治療を行うチームです。胆道・膵臓の疾患は診断や治療が難しい領域です。また、膵癌・胆管癌・胆嚢癌は難治癌の代表といわれています。これらの多様な疾患へアプローチするためには、「ERCP」や「PTBD」「EUS」といわれる内視鏡やエコーを用いた低侵襲な診断・治療手技に加えて、化学療法など幅広い知識が要求されます。
1992年、治療に難渋する患者さんの診療を経験し、「より質の高い診断や治療を提供したい」という気持ちから、この胆膵グループが始まりました。私たちの最大の強みは、総合診療力と考えています。診断、投薬治療、内視鏡、化学療法など様々な専門に特化した医師によるチーム医療を心がけています。時には診療科や病院の垣根を越えて、ひとりひとりの患者さんにとって、最も適切な治療は何かを相談しながら方針を決定していきます。
また、これまでの臨床経験を生かすため、診断や治療の成績を記録・解析しています。これらのデータを基に新しい治療や技術の確立のための取り組みも積極的に行っています。これは「臨床研究」と呼ばれるもので、患者さんに不利益が生じることがないよう、定められた規則を遵守して施行しています。さらには、自分たちが直接診察する機会のない患者さんにも恩恵をもたらすことを目標に「基礎研究」を行っている医師もおります。
私たちは、目の前でつらい思いをする患者さんに寄り添い、最善の治療を提供するだけでなく、世界の胆膵診療をリードすることを目標としています。より多くの患者さんが質の高い治療を安心して受けられるよう、これからも日々努力していきます。
東京大学消化器内科 光学医療診療部 准教授 中井 陽介